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2015年4月

2015年4月30日 (木)

「春のドライブ」

注文を済ませたあとのテーブルに取り残された指を見ている

白いお皿は幸せのかたちほろほろとサンドイッチのタワーをくずす

犬の頭をなでるみたいにされてから泣きたくなって木漏れ日のなか

この道が雪に埋もれるまでのこと春のあなたに話すドライブ


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photo by aihara




* * *




一年でいちばん好きな季節になった。
いっしょにお出かけしませんか。




* * *

2015年4月28日 (火)

「夢をみていた」

背表紙がいちばん太い本みたい わたしの部屋でくつろぐ人は

わたしには触れない君の指先が猫の目やにをやさしくはずす

外は春 あふれかえって咲くさくら エアコンのリモコンどこいっちゃったんだろう

空気ごと抱きしめられて春の夜 そうだねそんな夢をみていた

新緑にふる雨のあり日照りあり わたしはどんな匂いがしますか

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photo by aihara

2015年4月18日 (土)

「春のともしび」

まばたきのあいだに君を見失う 光のなかに鳥は生まれて

ごらんあれが春のともしび花のいろ同じおもさの水を抱いてる

いくつ夜を数えておけばいいんだろう森の呼吸は規則ただしい

会いたい人にいつも会えない星回り せめて桜の下で死にたい 


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photo by aihara






* * *


じゃあまた、って
笑って手を振ったけど、
たぶん二度と会えない人だ。

そういうことは今までにも
何度もあったし、
もう覚えてもいないんだけど、
誰かの背中を見送るたびに
終わりを思うのは、
わたしの残り時間が
短くなっているせいかもしれない。


* * *


2015年4月12日 (日)

「花ざかり」

コンビニは楽園ねって手をつなぐプッチンプリンを買ってもらって

どこまでも歩ける靴はいらなくて三歩下がって少しだけ泣く

回転ドアが巻き込んでゆく夕暮れにつかまる腕をなくすみたいに

よく食べてよく眠るから獣のように男の人の体は正しい

花ざかり ひたいを寄せて眠ってもあなたと同じ夢がみれない

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photo by aihara







2015年4月11日 (土)

「羽もないのに」  (「午前三時の庭/庭に やみ」より)

退屈、と言われて髪をなでている 沈丁花ならつめたい匂い

文鳥のねむるみたいに木蓮のつぼみはひっそり丸くなりたい

節のない指がひたいに乗せられてなめらかすぎる夜を過ごした

わたしたち同種だったね巣籠もりの枝を今年も覚えていたね

羽ばたいていかないように目覚めるまえに肩甲骨を抱きしめておく

二人でいれば寂しいことからしたくなる月の光のとどかない庭

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photo by sakurako



* * *



この花は桜ではなくエゴノキの花。
来月くらいに咲く。
芝生に落ちると、星が散らばっているよう。



* * *

とみいえひろこさん(@hirokodori)の企画  #午前三時の庭 より
わたしは「庭に やみ」で参加しました。
たくさんの方が参加されてます。
まとめてPDFダウンロードはこちら↓
(A4原寸で出力推奨)
https://dl.dropboxusercontent.com/u/273073389/A4niwa.pdf 

わたしはB4で出したのですが、小冊子のようで読みやすかったです。

2015年4月 5日 (日)

「前頭葉がねむってる」



人混みが嫌いと言われお花見も花火も君じゃない人と行く

夜桜は今年もきれい来年もきれいわたしが見なくなっても

火の指ね、鉢を枯らしてしまうのは ひとのこころにがまんできない

大切にしたいと思う人がいて表面張力くずすみたいに

ふれないで。前頭葉がねむってる。つむじがある場所までついて来て

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photo by 月下  桜






* * *



この間、短歌を詠むのに、
何かを積極的に見聞きしたり体験したりした方がいい、
という意見をいただいて、
「そうですね」と返事したれど、
あとですごく悲しくなった。

それなら、わたしには、難しいことだ。

どこかへ行ったり、
新しいことを体験したり、
めったにできないわたしが、
このように作る歌は、どうしたらいいんだろう。



* * *


2015年4月 3日 (金)

「ビー・マイ・ダーリン」 (『Dolls3』 2014 春)

病める時は愛してほしい健やかなる時は愛するふりしてほしい

答え合わせしない会話で瓶ビール三三九度に飲みあいながら

荒城に月は出ますかほろ酔いで共寝をしてもいい場所ですか

柔肌の熱き血潮に口づけてあなたは道を説いたりしない

言葉とか態度じゃなくて沈黙の深さに溺れている二十四時

花灯り どんなあなたも許されることを教えてあげるからおいで

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photo by aihara





* * *



一年前の春。
まひるさんの歌集が
同じシリーズから出ると発表されて、
運命みたいと思った。 

運命なら、こわれない。



* * *



【ご案内】

新鋭短歌シリーズ14
田丸まひる第二歌集 『硝子のボレット』

http://www.amazon.co.jp/%E7%A1%9D%E5%AD%90%E3%81%AE%E3%83%9C%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88-%E6%96%B0%E9%8B%AD%E7%9F%AD%E6%AD%8C%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA14-%E7%94%B0%E4%B8%B8-%E3%81%BE%E3%81%B2%E3%82%8B/dp/4863851588/ref=sr_1_2?s=books&ie=UTF8&qid=1428069492&sr=1-2



『硝子のボレット』批評会
2015年5月30日(土)13:30~@中野サンプラザ
詳しいご案内はこちら↓

http://replicaprince.jugem.jp/?eid=1185




* * *



「バージン・サマー」 (『Dolls2』 2013 夏)

茄子紺の帯を締めれば貞淑な女に見える見えるだけである

くちうつしされる痛みは微炭酸 ぬるいラムネを飲む一口め

クアーズの空き缶並ぶ砂浜でBLTのBがおいしい

どしゃぶりをください世間知らずならそれも貴重な愛かと思う

早くきみのいない所へ こんな町であの風鈴を鳴らすのは雨

全身に浴びせてきみの手の中のアセロラドリンク、壊れない色

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photo by 月下  桜




* * *


こうやって歌を遡ると、
その時にあった出来事を
昨日みたいに思いだす。


2013年、7月。
侃侃房の田島社長に、初めて会った。
京都駅の地下の喫茶店で、約二時間ほど。

とても暑い夏だった。


* * *



「誰かのものになりたいわけじゃないのに」 (『Dolls』 2013 春)

ちゃんと見て今日のピアスは揺れている左側から話しかけてる

さも大事そうにわたしを撫でる指(そういう嘘はもう欲しくない)

あなたから教えてもらう身体の記憶はぜんぶ波打ちぎわへ

一つだけ許されるなら泣くことを。人形はまばたきもできない

会いたい、と言えば会えなくなるんだろう いっぽん道をひとりで帰る

重なった分だけうつくしい罪になる 芍薬はあわく咲きたい

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photo by 月下  桜




* * *



田丸まひるさんとの短歌ユニット『Dolls』、第一作目。

まひるさんの歌が好きで、好きで、
何かいっしょにやりたくて、
勇気を出して声をかけた。

これを作っている時、ちょうど、
治郎先生に歌稿を提出する直前だったので、
ここからは3首選んでいただいた。
(1、3、5首め)

もう2年も前だなんて、信じられない。



* * *

2015年4月 2日 (木)

「ファミリー」

おかーさん、と呼ばれてふいにふり返るいもうとはもう知らない女

ハイライトをお花屋さんで買っていた祖父の棺の白い白い海

祖母の死のあとからあとから聞かされる祖父とではない恋の話を

ファミレスに一人で来ればざわめきは知らない国の言葉みたいだ

わたしにしか懐かない猫抱きしめて眠ればここを孤島と思う

春の空はみずうみ色でこんな日は家族じゃない人に出会いたい


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phpto by aihara






* * *


保育園に行くのが、すごく嫌いだった。

そのころは思い通りに熱が出せたので、
ふうふう言いながら眠っているのが好きだった。

曾祖母とよく苺ミルクを食べた。
お砂糖をまぶして、
スプーンの背で少し潰してくれたのを。


* * *

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